アゴをめがけて殴れ!
- 大井
- じゃあ、産まれたばかりの頃の子育ては奥さんまかせですか?
- 鈴木
- そうですね。ホントになにも出来なかったですね。最初は可愛くないっていうのがあったんでしょうけど、徐々に塚っちゃんの人気が上がっていって、僕が下がってくるっていう分岐点がやってきまして(笑)、暇が出来るようになってからは子供と接する機会がどんどん増えていきましたね。今は子供を連れて歩くのが好きで。子供のリアクションが面白いんですよ。また「電王ショー」の話になりますけど、電王が負けそうになってくると、子供たちが「がんばれ、がんばれ」って応援し始めるんですよ。で、電王が復活して怪人を倒すっていうセオリーがあるんですけどね。みんなが「がんばれ、がんばれ」って言ってる最中にうちの子だけが何だか分かんないですけど、「殺せー、殺せー」って(笑)。完全に育て方を失敗したなと(笑)。まわりの親は「なんだっ!?」て顔してましたけど、僕は芸人ですからそれが可笑しくて可笑しくて。
- 大井
- なに言ってんだ、コイツって。あと、鈴木さんのお子さんは、オモチャが好きすぎて投げちゃうんですよね(笑)?
- 鈴木
- 始めはオモチャとオモチャを戦わせて遊んでるんですけど、興奮してくるとバーンって放り投げて、僕に殴りかかってくるんですよ。
- 大井
- なんでそうなっちゃったんですか?
- 鈴木
- 育て方ですね、多分(笑)。前に『ウルトラマン』の必殺技を僕に仕掛けてきたことがあったんですけど、ちょっと待てと。そんなのを覚えたところでこの先の人生でおまえが勝てるわけじゃないぞ、ってことを教えてあげたかったんですね。で、「ちゃんと構えたところで、相手のアゴをめがけて殴った方が絶対に将来役立つから」って。
- 大井
- それを2才くらいの子供に教えてるんですか(笑)?
- 鈴木
- そうです。というのも、僕には子育てに対する勝手な持論がありましてね。まず、うちの子供は嫁の言うことを一切聞かないんですよ。でも僕の言うことはなんでも聞くんです。なんでか分からないですけど、子供が僕のことを尊敬してるんですよ(笑)。僕は子供と一緒に遊ぶときでも何でも真剣にやるんで、コイツには絶対かなわないと分かったんでしょうね。
- 大井
- 真剣にやるって(笑)?
- 鈴木
- 例えば、追いかけっこで子供がバっと逃げようとするでしょ? そしたら、僕も全力で走って一瞬にして捕まえるんです。
- 大井
- そこで泳がせてあげないんっすか(笑)?
- 鈴木
- 泳がせないです、絶対に遊ばないです。真剣にやるからこそ、コイツには勝てねえなって気付いて、尊敬するんでしょうね。これが僕の子育てに対する持論なんですけどね。だから、うちの子は嫁の言うことなんてちっとも聞かないですよ。
- 大井
- 奥さんはそれに対して、なにも言わないんですか?
- 鈴木
- 「やめなさい」って言われるんで、嫁の見てないところでやってます(笑)。
- 大井
- 「アゴ狙えよ」って(笑)。
- 鈴木
- 「ちゃんとアゴ狙えば倒れるから」って(笑)。
- 大井
- ダメですね、ダメな育て方してるような気がしますね。
- 鈴木
- いや、ホントにそうですね。
面倒くせーから黙って見てよう
- 大井
- 夜泣きとかはどうしてたんですか?
- 鈴木
- うちは母乳だったんで、それは嫁ですね。切ない話、未熟児だったんで母乳で育てないと感染する(注:1)可能性があるって言われてたんで。だから、その頃はおしめ交換くらいしか出来なかったですね。でも最近は、僕が子供の世話をしてるんですよ。僕が家に帰った途端、嫁は子供の世話を一切やらなくなったんで(笑)。いつのまにか「家にいるときくらいは何かやんなよ」みたいになっちゃって。
- 大井
- そこから家にいる時はずっと。
- 鈴木
- オモチャの片付けから、お守り、風呂まで。今はトイレを覚えさせてるんですけどね。
- 大井
- ご飯も食べさせたりするんですか?
- 鈴木
- 僕があげてますね。子供を左隣に座らせて、左手にスプーンを持って食べさせながら自分も食べるっていうのが上手くなっちゃった。最近は自分で食べられるようになりましたけど。
- 大井
- うちは1歳6ヶ月なんですけど、全然僕の言うことを聞かないんですよ。僕があんまり子育てやらないからかもしれませんけど。
- 鈴木
- 大井さんのところは男でしたっけ?
- 大井
- 女です。
- 鈴木
- あ、女の子は分からないですねえ~。
- 大井
- 思い通りにならないと、飯をグチャグチャにしたりするんですよ。ごはんを食いたくないときも投げたりするし。で、始めは「ダメだろ!」って言うんですけど、泣くと面倒臭いからもうジュースあげちゃうんです、すぐ(笑)。「ジュース、ジュース」って言い出すから。
- 鈴木
- ああ~、絶対ダメなパターンです。
- 大井
- そういうときはやっぱり怒ってました?
- 鈴木
- 子供が泣きだしたら、親は子から離れるんですよ。1歳半くらいになったらそうじゃないかもしれないですけど、とにかく離れるんです。で、疲れて泣き止んだ瞬間に戻るんですよ。そうすると「泣いたら大人は言うことを聞いてくれないんだな」ってなるんですね。大井さんの状況は、泣けばご褒美がもらえるっていうことになるんで(笑)。
- 大井
- どんどん泣きゃあいいって(笑)。
- 鈴木
- この人の場合は泣けばいいんだって、思ってるでしょうね。ただ奥さんは分からないですよ。
- 大井
- 奥さんもそうですもん。
- 鈴木
- うちの奥さんもそのパターンですね。僕はどんなに泣いてもず~っと見てるだけでしたけど。
- 大井
- どこか遠くへ行くんですか?
- 鈴木
- 始めの頃はそうしてましたけど、途中からどっか行くのも面倒くせーから黙って見てようと思って(笑)。そうすると子供が「あれ?」って。
- 大井
- 泣いてるのになんにもやってくんないって(笑)。
- 鈴木
- 何にもしないし、そのうち「なんで泣いてたんだっけな」ってなっちゃうんですよ、子供が(笑)。
- 大井
- ホントですか(笑)?
- 鈴木
- ホントです。だからやってみて下さい。うちは父ちゃんは自分がなにか言っても聞いてくれないって思ってる。
- 大井
- 今はちゃんと言うこと聞くんですか?
- 鈴木
- 嫁とかおじいちゃん、おばあちゃんの言うことは聞かないですけど、僕の言うことだけは聞くんですよ。