P.T.A
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本当のことを言ってください、お母さん!

大井
一人目が産まれて、親父になったんだなって実感したのはいつ頃ですか?
産まれたときはめっちゃ感動して、そこで一番意識が変わった気もしますけど、結局は変わってないでしょ?
大井
そうですよねえ~。結局変われていないんですよね。出産には立ち合ったんですか?
二回とも立ち合えなかったんです。
大井
そうなんですか。
一回目も立ち合おうと思ってたんですけどね、出産の瞬間は、『ロンロバ!』(※2)っていう番組の収録で、たのきんトリオみたいな格好をして踊ってました(笑)。オープニングを撮り終わったらマネージャーに「産まれたそうです」って言われて、立ち合いとは全然かけ離れたものだったんです(笑)。しかも「産まれたそうです」って……。で、そこから慌てて岡山(奥さんの実家)の病院に駆けつけて。
大井
やっぱり、病室に入って子どもをはじめて見たときは感動しましたか?
感動しましたね。嫁のお腹がへっこんでるのを見て、「すっげえ!」と思いました。何もないところから、こいつをつくり上げたんやなと思って、めっちゃ感動しましたよ。泣きそうになったんですけど、嫁の母ちゃんが先に来てて、なんか嫁の母ちゃんの前では泣きたくない!みたいな気持ちになって、ぐーって泣くのを我慢したのを覚えてる(笑)。たぶんいなかったら泣いてたと思う。
大井
二人目もですか?
二人目なんか、最悪ですよ。3月12日に産まれたんですけど、嫁の実家がある岡山での里帰り出産で、嫁が帰った2月末頃から産まれるまでのオフは、僕も岡山に行ってたんですね。それで立ち会えればなと思ってて、泊まれるときは泊まって。
大井
いいですねぇ。
2月末頃から前駆陣痛(※3)みたいなのがはじまって、「そろそろ産まれるかも」って言われてたんですけど、3月に入ってからまったく陣痛がこなくなったんですね。だけど、いつ陣痛がくるかわからへんし、岡山に行けないときもマメに様子を聞いたりしつつ、3月9日に仕事が20時くらいで終わったんでまた岡山に行って、9、10日と泊まって、11日の最終の新幹線(20時半)で帰ることになったんです。嫁も見送りに来てくれて、「僕が東京行ってから産まれるとかやめてなあ」って言ったら、「私も早く産みたいくらいやけど、今日産まれることは絶対ないわ」って言ってたから安心して帰ったんですね。
大井
心強い言葉ですよね。
うん、それで新幹線で帰ってるときに、杉田かおるさんから「今日何してる? 吉本の若手と飲んでるからおいでよ」ってメールが来て、飲みに行く約束をしたんですよ。で、杉田さんのところに行こうと思ってタクシーに乗ってたら、嫁の母ちゃんから電話が鳴って「今陣痛がきて、病院に行ったから」って。「え~~! なんやねん、今日は絶対ないって言ってたのにアイツ~」と思ってパッと時計を見たら、まあ0時3分とかやって、まあ確かに今日ではないな、言うてること間違ってないからしゃあないわと思って(笑)。でも、そこから岡山には行けへんし、一人でソワソワしててもしゃあないし、杉田さんとの約束を今から断るのも違うなと思って、結局飲みに行ったんです。飯食いながら、「今、実は嫁が陣痛がきてるんですよ」って話したら、「そうなの!? おめでとう~!」ってバンバン飲まされて(笑)。
大井
まあ、そうなっちゃいますよね(笑)。
そしたら、嫁の母ちゃんから電話が鳴って、「産まれました」と。とりあえず飲んでるのがバレたらアカンと思って、一生懸命普通っぽく喋って「両方とも健康ですか?」とか聞いたりして。で、酒の席に戻って、無事産まれたことを報告したら、杉田さんが「飲もう!」って(笑)。後から聞いたら、僕も酔い過ぎてて、嫁の母ちゃんに「本当に母子ともに健康なんですか? 嘘をついてるんじゃないんですか!?」っていう電話をめっちゃしてたみたいなんです。もうサイテーです(笑)。覚えてないですよ。「本当のことを言ってください、お母さん!」って、朝の4時とか5時とかに何回も電話したらしいんです。
大井
もう酔ってるの完全にバレてますね(笑)。会いに行けたのは何日後くらいなんですか?
2日後かな。岡山に着いて一番に、一人で病院まで赤ちゃんを抱っこしに行ったんですけど、その後、嫁の実家に戻って、長男を連れてもう一回一緒に病院に行ったんです。長男の前では、僕も初めて会うフリして、長男から「僕、弟できたんだよ、抱っこしてみたら?」って言われるまで、抱っこしないようにしてた。
大井
それはなんでですか?
上の子っていうのは、下の子が産まれたときに親がパッと赤ちゃんを抱きに行くと記憶に残ってしまうから止めておいたほうがいいって病院の先生から言われてたんです。だから、そこだけは気を付けて、知らないフリして抱っこしましたね(笑)。
大井
へえ~! 
いきなり取られた感じがするんでしょうね。

自分が両親に育てられた時と同じルールでいいのかな

大井
うちの子が2歳で、とにかくどんどんワガママになってきてるんですけど、そういう時期って、亮さんは叱ったりしたんですか?
めっちゃ叱ってると思う、鬱陶しいくらい。
大井
僕はどうやって叱ったらいいのかわからないんですよ、怒る強さというか加減がわからない。子どもだしっていうのもあって、言ってもわからないんじゃないかっていうのもありますし。例えば、食べ物を投げたりしたときに「ダメでしょ!」ってことは言えるんですけど、また同じことをやるじゃないですか。そこで、「ダメだって言ってるだろ!」って叱ることができないんですよ。怒り方がわからないんですよね。
難しいですよね。そこは女の子のほうが難しいなとはやっぱり思いますね。うちは二人とも男の子だからその点はすごくラクというか。
大井
どのくらいの強さで叱るんですか?
自分が両親に育てられたときと同じルールでいいのかなと思って。最初はこれ以上言ったらのびのび出来ひんのかなとかも思ったけど、僕の家で暮らしてる以上は、僕が怒っていいような気がしてきて(笑)。だから、当たり前のことに関してはなるべく怒るようにはしています。でも本当のところを言ったら、そこは嫁にバンバン叱って欲しかったですね。でも、嫁の叱り方ではなんか物足らへんなって感じがあって、気付いたら交代していたんです。
大井
逆にうちは、嫁が怒るんですけど、嫁が怒ってるのを見て僕が引いちゃうんですよね、言い過ぎなんじゃないかなって。だから自分が怒れなくなるんですよ。
うちは嫁が怒らへん。言ってもわからへんねんから、ほんまに止めて欲しいことは教え込むしかないねんって僕は思うんやけど、僕が怒り出したら「やり過ぎちゃう?」って嫁が言い出して。僕は「やり過ぎじゃない、絶対に違う!」って。やり過ぎはないと思ってるから。
大井
注意して、わんわん泣いたとしたら、それでお終いですか?
泣いても許さない。
大井
へえ~。例えば、どういったことで怒るんですか?
お箸を放ったりしたら、「拾え」って。それで「お父さん取って」とか言うてきたら、「今誰がやったん?」と。「僕がやった」「やろ。ほな自分が悪いんやから取れや」っていう感じですね。それでも子供って、機嫌が悪いときは余計言うこと聞かないでしょ? もちろんこっちは絶対拾わへんし、「じゃあ、食べんでええんちゃうん」って。
大井
恐い親父ですね~!
あとはオモチャで遊んだときに片付けないまま、次の遊びをやろうとしたら「向こう片付けてからにしろよ」って言います。嫁と片付けするときは、嫁を呼んで一緒に片付けをするらしいんですね。僕も呼ばれるけど、絶対手伝わない。「できない」とかすぐに言うし、僕がやったほうが絶対に早いんやけど、「こうやったら入るんちゃう?」って教えてあげながら全部自分でやらす。
大井
すごいですね、僕は我慢できないんですよ。「やらなきゃダメだぞ」って言いながら、自分でやったほうが早いと思ってやってしまうんですよ。
うちの嫁もそうなんですよ。うちのオカンも僕が小さいときにやってくれてたんですけど、そうすると、僕みたいに片付けができない人間になってしまうぞと。これは危険やなと思って子どもにはちゃんと教えてます。ちゃんとできると「すごいやん、おまえできるやん! だから何でもできひんって言って人を呼ぶのを止めろ」って、めっちゃ普通に一個一個、後輩に言うてる感じで人としてちゃんと説明してるかな。
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