ベースはオッケーだと思ってるけど殴ったことはほとんどない
亮
二人目がお腹にいるとき、嫁が長男連れて実家に帰ってたんですね。それで僕も嫁の実家に行って久しぶりに3人で遊びに行ったときのことなんですけど、久しぶりに会ってるから子どものテンションがすごく高くて、「これで遊びたい」、「あれで遊びたい」って。そこで僕が「じゃあ、あれもやったら?」って言ったら、なんかカチンときたみたいで、「お父さん、自分でやったらいいじゃん」って。なんやコイツ冷たいなあと思って、「やってくれや」ってお願いしたんですけど、「何でやんなきゃいけないの! そんなんだったらもう一緒に遊ばない」って言われたんで、「おまえ言うたな、遊びに連れて来てるのこっちやぞ」と。それで、「ほんまに遊びに連れて行かなくてもええのか、おまえ今とんでもないこと言うたぞ!」って(笑)。
大井
ちょっと大人げない感じですね(笑)。
亮
「イヤだ!」までは許せても、「もう遊びに連れて来んでもいい」って言ったらダメでしょ? で、「わかった。もう二度と遊びに連れて行かへんからな」って怒ったんですよ。「今まで覚えてる限りで言うと釣りに行ったよな、公園に行ったよな」って楽しいこと全部言って、「それ全部もう行かへんからな!」って言ったら、わ~んって泣き出して。でも「おまえが言うたことやからな、ちゃんと言葉に責任持て!」って。それでも負けじと「大嫌い!」って言い返してきたから、「じゃあ僕も大嫌い!」って(笑)。
大井
(笑)。
亮
「僕はおまえのことを可愛いと思うけど、大嫌いって言われた相手に対して、好きって言うほど甘くないからな。僕もそんなんやったら大嫌いや!」って(笑)。そうしたら、泣いて嫁のところに行って。
大井
その落としどころはどうするんですか?
亮
向こうが折れるまで。
大井
「ごめんなさい」って言ってくるまでですか(笑)。子どもからしたらタチ悪い父親ですね。
亮
まあそういうときは大抵嫁のところに行くんで、嫁は落としどころを探し出してあげる役。それで嫁が「お父さんと遊びたいんやろ? じゃあ謝ってきたら?」って言いながら笑ってるから、あとで「何言ってたん?」って聞いたら、「大好きだけど、会うと喧嘩しちゃうんだよな」って。なんやねん、恋人か!って(笑)。結局、「嫌いって言ってごめんなさい、でもあれはやりたくなかったの」って素直に言うてきたんで、「わかった。じゃあ遊ぼうぜ!」ってまた遊びに戻る感じですね。
大井
奥さんと亮さんで、役割分担がちゃんとできてるのはいいですね。
亮
嫁がブチギレてるときもあるけど、そういうときは僕が落としどころを見つけたりして、交互にやってますね。
大井
バランスですね。
亮
女の子を怒るのは恐いですけどね。嫁は二人目は女の子が欲しかったらしいんだけど、僕は二人目も男の子でほんまに良かったと思って。
大井
亮さんは男兄弟ですか?
亮
男兄弟です。
大井
僕、女姉弟なんですよ。だから、娘のときはこんな感じでいいんだろうなって、なんとなくわかるんですけど、兄弟に男がいなかったから、息子にどの程度強く言ったらいいのかちょっと自信がないんですよね。男兄弟のいる人に聞くと「全然いいんだよ、やっちゃって」っていう言い方するんですけど、ちょっと大きくなってきたときに、たぶん女の子くらいの接し方しかしなそうで。
亮
あ、それはナメられるわ。
大井
家族の中に男がいるって違和感があったりするんですよ。
亮
僕もたぶん、女の子が産まれたらどうしてええかわからへんのやと思う。「どうやって怒ったらええの?」って聞くと思うもん。
大井
殴っても大丈夫だと思ってますか?
亮
ベースはオッケーだと思ってるけど、殴ったことはほとんどないかな。
大井
それはそれなりの理由があるっていうことですか?
亮
怒られてる最中に逆ギレしたんで、バキーンいったってん。「ふざけんな、誰が悪いんじゃ!」って引きずり出して、「ほんまうちにはいらんからな! 僕もお母さんもおまえのことは好きやけど、ワガママ言ったり、人の言うことを聞けない子どもは、お父さんとお母さんは育てていけへんと思ってしまうから、うちにはいらん。だから、好きやけど外に行ってくれ。もう一人で育ってくれ」って外に出す。そうしたら、うえ~んって言うてる。
大井
(笑)。
亮
ほんまに離れたくないから、僕の腕引っ掻いて。「悪いことしたと思うなら認めろ、アホか!」って、正座させて喋るときもありますね。「人が話してるときは目を見ろ」ってよく言うんですけど、オモチャとかあるとそっちに気がいくから、「目を見ろ!」って(笑)。
大井
めちゃめちゃ雷親父ですね。
亮
めっちゃ嫌われると思う(笑)。でもまあ、おかしなことは言わないようにしてますけど。
大井
そうですね、大事ですね。
女の子の前で見栄はりよんねん
亮
でも、僕が大切にしてたフィギュアを潰されたときは感情的になってしまって、おかしな怒り方をしましたけどね(笑)。僕が大事にしてるフィギュアを置いてる部屋があって、「ここは絶対に開けたらアカンぞ」って約束してたんですね。しばらくは約束を守ってたのに3歳になったとき、その部屋のドアを息子が閉めてる姿を見たんですよ。そのときは「開けたらアカンやろ、約束やろ」って注意しただけだったんですけど、中見てみたら、ブルース・リーのフィギュアが折れてんねん(笑)。くっそーと思って、なんかこじつけて怒らなと思って、「おいっ!」って自分の部屋にまた連れて行って、正座させて「僕が何に怒ってるのかわかってるか? ブルース・リーのフィギュアを壊されたことを怒ってるん違うぞ。おまえが約束を守らなかったとことと、見つかって逃げたおまえの精神や!」って。でも実際は、(もう売ってへんのに、ボケ!)と思いつつ。それから二度と開けへんけどね。
大井
そうですか、やっぱりちゃんと怒らないとダメですね。
亮
うん、僕はちゃんと怒るようにしていますね。基本的には言うこと聞くけど、それでもワガママなことはずっと続きますよね。公園に行ったら「まだいたい!」って100%なるし。
大井
なりますね。
亮
一回だけ思いっきり付き合ってやったけどね。13時から15時くらいまでいて、もういいやろと思って「帰ろう」って言ったら「いやや」って言うから、なんか興味が出てきて、こいつ何時まで遊びたいんやろ、毎回同じこと言うなって。いっつも気になってたんで、「よしわかった、今日は好きなだけ遊んでええわ」って言うたんですよ。そしたら18時くらいかな、周りの人もいなくなってきて寂しくなってきたのか、僕の横に座って「……もう僕、これ以上遊べないよ」って(笑)。
大井
可愛いですね、それ。
亮
それが体力の限界だったんですね。周りも人がいなくなってきて、寂しくなったのもあると思うんですけどね。
大井
僕も2歳ちょっとの娘を連れて公園に行って滑り台とかするんですけど、ちょっとでも危ないと思うと手を添えたりしちゃうんですよ。この遊んであげ方であってるのかなっていう疑問があるんですよね。
亮
めっちゃ思う!
大井
ボール投げたりとかもするんですけど、すぐに娘が飽きちゃんで、結局娘がやってることを見てるだけなんですけど。
亮
公園にいる子に「何歳?」って聞くんですけど、息子と同じ歳の子ができてることをうちの子はやろうとしないのはちょっと嫌なんですよ。僕のイメージは男の子はわんぱくというか、そんなイメージなんですよね。それで、息子に「あの子やってんで」って言うて、どうにかしてやらせようと思ってしまうんですよ。うちの子はそういう地味な遊びが多くて、いろんな遊具があるのに、泥団子を作ってたりとか、30分くらい虫をイジってたりだとか。だから遊具でわんぱくに遊んでる子をうらやましく思って、無理矢理やらせたことがありましたね。「すごい、すごい」って煽りながら、ジャングルジムの高いところに乗せたりしてたんですけど、「恐い、もうイヤだ」って(笑)。無理矢理やらせたのがアカンのかなと思ったりもしたんやけど、最近はだいぶマシになってきたかな。
大井
自然と成長していくもんなんですかね。
亮
そうやね。一番嬉しかったんが、公園に遊んでるときに、同じ幼稚園
(※4)
の女の子が来たんですよ。そしたら、今までやらんかった遊具を偉そうにカッコ付けてやってんねん(笑)。「こうやったら大丈夫だよ。お父さんが下にいてくれるから大丈夫だよ」って、さっきまで「恐いから止めとこう」って言ってたくせに、女の子の前で見栄張りよんねん。
大井
4歳で(笑)。
亮
そう(笑)。それはちょっと嬉しかったな。それがきっかけで普段やらんかったことをやったことも嬉しかったし。だから、いっつも女の子と一緒に遊びに来れたらええのになと思ってね。「こんなのできるよ」ってちょっと自慢するのよね。
第五回ゲスト
設楽 統(バナナマン)
第四回ゲスト
剛(中川家)
第三回ゲスト
田村亮(ロンドンブーツ1号2号)
第二回ゲスト
井戸田 潤(スピードワゴン)
第一回ゲスト
鈴木拓(ドランクドラゴン)